【龍馬像をカラー化】本当の龍馬はどんな人物だったのか?
時代考証家・山村竜也氏と再現する“最も本物に近い”龍馬像
幕末に活躍した偉人の名は今もなお多くの日本人の記憶に刻まれているが、その中でも、坂本龍馬(さかもとりょうま)は屈指の人気を誇る。今回、NHK大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)で時代考証を務めた時代考証家の山村竜也氏監修のもと、龍馬の肖像写真としてよく知られる「坂本龍馬湿板写真」(高知県立歴史民俗資料館所蔵)をカラー化。山村氏に、この一枚からうかがえる、龍馬の人物像について話を伺った。
■龍馬の「型破りさ」を伝える数々の小物
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カラー化する前の原版である『坂本龍馬湿板写真』(高知県立歴史民俗資料館所蔵)。一般的な坂本龍馬の肖像写真としてもよく知られている。
高知県立坂本龍馬記念館によれば、枚数の断言は避けつつも、坂本龍馬の姿を現代に伝える写真は6種類あるとしている。立ち姿の写真、座っている写真、伊藤助太夫(いとうすけだゆう)と使用人と撮影したもの、上半身だけのもの、海援隊士と撮ったもの、そして、縁台に座っている写真だ。同館では、いずれも1865(慶応元)年から1867(慶応3)年の間に撮影されたものと推測している。
今回カラー化した龍馬の写真は、6枚のうちでも1、2を争うほど広く知られた一枚だ。カラー化に伴い、監修を務めた時代考証家の山村竜也氏は、今回の出来をこう語る。
「龍馬の肖像写真のカラー化は、これが初の試みというわけではありません。しかし、出回っているもののなかでは最も正確な考証に基づくカラー写真となっています」
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『坂本龍馬湿板写真』(高知県立歴史民俗資料館所蔵)を彩色したカラー写真。彩色/山下敦史 彩色監修/山村竜也
龍馬といえば、進歩的な考え方を持つ人物だったとして知られている。その象徴とされているひとつが、足元のブーツだ。袴(はかま)にブーツという出で立ちは、常識や因習(いんしゅう)に縛られない龍馬の姿にふさわしい。この画像でも見られるブーツは「グラバー商会で購入したもの」「高杉晋作からの贈り物」といった説があるが、山村氏はいずれも否定する。
「それらは確証のある説ではありません。今回カラー化した写真と、座っている写真の2枚でブーツ姿が確認できますが、龍馬が日頃からブーツを履いていたとする記録は、実はどこにもないのです」
写真が撮影された場所は、日本最初期のカメラマンである上野彦馬(うえのひこま)が長崎に開業した写真館であることが分かっている。龍馬の履いたブーツは、写真館のスタジオにあった小道具だったのではないか、とする説もあるという。
「とはいえ、龍馬が当時の常識だったわらじや草履(ぞうり)より、靴やブーツの方が有用である、ということに早くから気付いていた人物であることは間違いありません。だからこそ、数ある小道具の中からブーツを手に取って履いたとも考えられます。ですから、たとえ記録がないとしても、龍馬がブーツを常用していたり、進歩的な考えを持つ人物だったことを否定するものではありません」
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